
報告者・佐藤久理子
2025年9月17、18日の2日にわたり、ハンガリーの「ブダペスト・クラシック・フィルム・マラソン」映画祭の折にFIPRESCI総会が開催され、日本代表代理として参加してきましたので、以下にご報告いたします。
今回の参加者は昨年より大幅に増え、直前に新加入したキルギス共和国の会員も含み28カ国30人となりました(フランスとドイツのみ、それぞれ2つの団体がFIPRESCIに加入しているため)。
内容は総会以前に、プレジデントのアーメド・シャウキーより配られた協議事項録に沿っておこなわれました。シャウキー・プレジデントは、今年2月をもって引退したクラウス・エダー事務局長を引き継ぎ、今回の総会で他の幹事メンバーともども、参加者の投票によって正式に就任が決まる段取りとなっていました。
1.シャウキー・プレジデントから、引き継ぎと今後の抱負について
エダー元事務局長からのさまざまな引き継ぎをなるべくスムーズに迅速におこなうこと。
現在の映画界の動きと連動し、FIPRESCIのイメージをさらにアクティブに新しくすること。
会員を増やすことの努力と、会員名簿をつねに最新に保つこと。
2.FIPRESCIの活動報告
これまでのパートナーとの関係性を維持していくことと、新しいパートナーを開拓する努力をすること。現在約80の映画祭とのパートナーシップがあり、これをさらに拡大していくように務める。
FIPRESCIの団体としての法的権利を明確にしていくこと。とくにこれまでの体制のように、ひとりに決定権が集中したり、ひとつのポジションに役割が集中しないようにすること。
FIPRESCIのアーカイブの整理と合理化:これまでデジタル化と無縁で過去の資料がほとんど調べられなかったFIPRESCIのアーカイブのデジタル化を現在図っていること。ドロップボックスを開設し、今後アーカイブのアクセスがより簡潔になることを目指す。また、FIPRESCIのサイトもこれまで以上にアップデートを心がける。
あらゆる差別を退け、ダイバーシティに富んだ団体を目指す。とくに2025年のFIPRESCI審査員の男女(ノンバイナリーも含む)の割合がほぼ半々に近づいていることは注目すべきことと言える。
3.会計報告
暫定会計係となったバート・グルー氏からの報告で、エダー事務局長時代の会計の詳細が報告されました。それによれば、領収書がない(口頭による)経費引き出し、計算の合わない会計などが目立ち、これまで専門の会計係がいなかったことが問題となりました。この問題についてさらにエダー元事務局長に追求するか否かの投票が行われた結果、多数決で、彼の引退に伴いこれ以上追求しないことが採択されました。その代わり、これまでの口座を閉め、新たな口座を開設することが決定されるとともに、今後会計係を置いて、透明会計、および管理を強化していくことが確認されました。
4.100周年について
100周年を記念した、これまでの伝統と持続力を反映するようなプログラムを考えること。この一貫としてまず、アニバーサリーを記念するFIPRESCIのトートバックとバッジが作られました。
一方、各国の映画人からアニバーサリーの祝辞をもらい、URLで発表する計画については、現在まだ祝辞がそれほど集まっていないため(ケン・ローチ、ヴィム・ヴェンダース、黒沢清、濱口竜介監督らから祝辞をいただきました)、再び声をかけて集める努力をし、ある程度集まった後に閲覧できるようにする予定であるとのこと。また新しいURLデザイン担当を立て、サイトもリニューアルを図る予定であるとのことでした。
5.幹事メンバーの選挙投票
今回の総会のメイン・イベントである幹事メンバーに関する承認投票が行われ、以下のメンバーが決定しました。なお、今回から事務局長補佐というポジションをなくし、プレジデント補佐を3人にすること、会計係を作ることが決まり、以下の顔ぶれが決定しました。
プレジデント:アーメド・シャウキー(エジプト)
プレジデント補佐:パオラ・カゼッラ(イタリア)、エレナ・リュバシュヴスカ(ウクライナ)、マリナ・コストヴァ(北マケドニア共和国)
会計係:バート・グルー(スイス)
リーガル担当:フィリップ・マーレク(フランス)

6.その他
参加メンバーからの質疑応答も含めて、とくに次の点が確認されました。
―FIPRESCIに加盟する団体が存在しない国に限り、メンバーになりたいジャーナリストは個人で直接加入することが可能(ただし年会費も個人で負担)。
―FIPRESCIメンバーが代表する国はそれぞれ、その人の国籍や住んでいる場所ではなく、どこの国の媒体にもっとも記事を書いているかで決まる。たとえば国籍がフランスでも、イギリスに住んでイギリスの媒体に記事を書いている場合は、そのメンバーの代表する国はイギリスとなる。これはFIPRESCI審査員として立候補する際、よく混乱を引き起こす問題なので、あらためて確認されました。
最後に、今後FIPRESCIの活動に関して、メンバーからのさまざまなアイディアにはつねにオープンであることも強調され、より一層の透明化と活発な活動を心がけていくことが表明されました。


