パク・チャヌク印の乾いたブラックコメディ『しあわせな選択』

推薦者・佐藤結

 一作ごとに円熟味を増すパク・チャヌク監督がドナルド・E・ウェストレイクの小説『斧』を映画化。長年勤めた製紙工場をリストラになった男が再就職のライバルと目した相手を次々と殺していくという残酷な物語を乾いたタッチのブラックコメディとして完成させた。

 主人公夫婦役に、韓国を代表するスター俳優イ・ビョンホン、ソン・イェジン。さらに彼らと同じような状況にあるもう一組の夫婦を、演技派として名高いイ・ソンミン、ヨム・エランが演じている。撮影、美術、衣装、音響、音楽など、隅々まで凝りに凝ったキッチュな芸術品のような仕上がりがパク・チャヌクらしい。完成度が高すぎて、「仕事と家族を同時に失いそうな男の悲哀」の実感が少し遠のいてしまったのが残念。

3 月6日(金) TOHO シネマズ 日比谷ほか全国公開
配給:キノフィルムズ
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