03年の韓国映画『地球を守れ!』のリメイク。監督は『哀れなるものたち』のヨルゴス・ランティモス。プロデュースはアリ・アスターやアスターに『ミッドサマー』を撮らせたラース・クヌードセンら唯一無二の映画の作り手たちが名を連ねる誘拐サスペンスだ。
主人公はアメリカの地方都市で製薬会社の配送部で働いているテディ(ジェシー・プレモンス)。勤務先の労働条件は非常に悪く、会社の機械で怪我をした同僚は補償も得られず、かえってノルマを果たせなかったと減給された。母親は同じ製薬会社の治験の被害者で入院中。テディが心安らぐのは従弟のドニー(エイダン・デルビス)と養蜂をしているときだけで、その養蜂も蜂群崩壊症候群(CCD)が心配だ。
一方、製薬会社のCEOミシェル(エマ・ストーン)は新自由主義経済の頂点にいる。一人で豪邸に暮らして環境負荷が高いSUVを乗り回し、従業員には17時半で帰っていいが責任は果たせと言う――つまり残業代をカットする方針だが経営者として手は汚したくない、忖度を強要する絶対強者だ。テディはドニーを説得して、ふたりでミシェルを誘拐する。
しかしこの誘拐は営利目的ではない。マスメディアを信じられなくなってネットメディアで情報収集してきたテディは、ミシェルを人類を滅亡させに来たアンドロメダ星人だと信じていて、地球を救うためにこの暴挙に出た。
貧困層誘拐犯と富裕層人質の駆け引きの行方は……。彼らの対話には、同じ現実を見ていても属する階層で解釈がまったく違う、現代人のコミュニケーション不全が浮き彫りになる。さらに誘拐サスペンスに加え瞠目の展開があり、それをリアルに見せる俳優たちの演技が素晴らしい。特にエマ・ストーンの交渉が通じないと悟ったときの一瞬の絶望の表情などは必見だ。
最初に見たときは『オールドボーイ』、2回目に見たら『デッドゾーン』の趣。刺激的という以上に絶望的で、それでも笑ってしまうブラックコメディだ。
主人公はアメリカの地方都市で製薬会社の配送部で働いているテディ(ジェシー・プレモンス)。勤務先の労働条件は非常に悪く、会社の機械で怪我をした同僚は補償も得られず、かえってノルマを果たせなかったと減給された。母親は同じ製薬会社の治験の被害者で入院中。テディが心安らぐのは従弟のドニー(エイダン・デルビス)と養蜂をしているときだけで、その養蜂も蜂群崩壊症候群(CCD)が心配だ。
一方、製薬会社のCEOミシェル(エマ・ストーン)は新自由主義経済の頂点にいる。一人で豪邸に暮らして環境負荷が高いSUVを乗り回し、従業員には17時半で帰っていいが責任は果たせと言う――つまり残業代をカットする方針だが経営者として手は汚したくない、忖度を強要する絶対強者だ。テディはドニーを説得して、ふたりでミシェルを誘拐する。
しかしこの誘拐は営利目的ではない。マスメディアを信じられなくなってネットメディアで情報収集してきたテディは、ミシェルを人類を滅亡させに来たアンドロメダ星人だと信じていて、地球を救うためにこの暴挙に出た。
貧困層誘拐犯と富裕層人質の駆け引きの行方は……。彼らの対話には、同じ現実を見ていても属する階層で解釈がまったく違う、現代人のコミュニケーション不全が浮き彫りになる。さらに誘拐サスペンスに加え瞠目の展開があり、それをリアルに見せる俳優たちの演技が素晴らしい。特にエマ・ストーンの交渉が通じないと悟ったときの一瞬の絶望の表情などは必見だ。
最初に見たときは『オールドボーイ』、2回目に見たら『デッドゾーン』の趣。刺激的という以上に絶望的で、それでも笑ってしまうブラックコメディだ。


