NEW! メンバーズチョイス パク・チャヌク印の乾いたブラックコメディ『しあわせな選択』 推薦者・佐藤結 一作ごとに円熟味を増すパク・チャヌク監督がドナルド・E・ウェストレイクの小説『斧』を映画化。長年勤めた製紙工場をリストラになった男が再就職のライバルと目した相手を次々と殺していくという残酷な物語を乾いたタッチのブラックコメディとして完成させた。 主人公夫婦役に、韓国を代表するスター俳優イ・ビョンホン...
NEW! メンバーズチョイス 血まみれ果し合いの真相に迫る 『木挽町のあだ討ち』 推薦者・森田健司 昨年公開された映画のヒット作は興行収入200億円を記録した「国宝」。現代の歌舞伎の世界を舞台にしている。 一方、この「木挽町のあだ討ち」は江戸時代後期が舞台。歌舞伎小屋の人間模様から、仇討ちのミステリーを解く手法だ。筆者は時代劇が好きなので、こちらのほうが味わい深い。というか、しっくりくる。 文...
メンバーズチョイス 『センチメンタル・バリュー』父帰る。姉、怒る。妹、惑う。 推薦人:まつかわゆま カンヌ映画祭でグランプリ受賞。パルムの声も高かった 25年のカンヌ映画祭でグランプリを獲得したデンマーク人ヨアキム・トリアー監督作品(ノルウェイの作品だが)。プレスの評判も大変よく、ジャファール・パナヒ監督がカンヌ入りしていなければパルム・ドールを受賞してもおかしくなかったと思う。とてもよく書き込...
メンバーズチョイス 鬼才たちによる環境ブラックコメディ『ブゴニア』 推薦者・遠藤京子 03年の韓国映画『地球を守れ!』のリメイク。監督は『哀れなるものたち』のヨルゴス・ランティモス。プロデュースはアリ・アスターやアスターに『ミッドサマー』を撮らせたラース・クヌードセンら唯一無二の映画の作り手たちが名を連ねる誘拐サスペンスだ。主人公はアメリカの地方都市で製薬会社の配送部で働いているテデ...
メンバーズチョイス アウシュヴィッツを訪ねた父と娘。「人間を焼くにおいがしない」とは? 『旅の終わりのたからもの』 推薦者・田中千世子 民族や共同体が受けた過去の過酷な出来事が「集団の記憶」となって現在の非人道的な行為の正統性を主張する。その誤謬が今日では問題になっているが、本作はまぐれもなく個人の記憶に立脚した個人の物語として完結している。その意味は大きい。 1991年のポーランド。社会主義体制が崩壊し、自由主義へと移り変わっ...
メンバーズチョイス 認知症を患った大女優の苦悩と美しき友情『喝采』 推薦者・渡辺祥子 ブロードウェイの大女優、リリアン・ホールがチェーホフの名作『桜の園』の舞台の初日を目前にして台詞が出てこない恐怖に直面する。台詞を忘れ、新たな台詞がおぼえられない。医師の診察を受けてその理由が判明した。認知症……。 そんな始まり。ある程度の年代になれば誰もが心の片隅に抱えるに違いない不安がここにある。...
メンバーズチョイス よく練られた骨太な作品 『恋愛裁判』 推薦者・立花珠樹 深田晃司監督『恋愛裁判』は、アイドルの交際をめぐって実際にあった裁判などを基にして、アイドルグループのメンバーである若い女性が、さまざまな現実の壁にぶつかりながら、自分の生き方を見つけていく映画だ。 発案から完成まで約10年。長期間の取材を経て監督自らが書いた脚本が、とてもよく練り上げられており、...
メンバーズチョイス 「暴力で、ではなく世界を救う」ことはできるのか 『果てしなきスカーレット』 推薦者・まつかわゆま すでに公開されているが、批評的には賛否両論の否の方が優勢で、興行的にも苦戦している様子。だが、私は細野守監督の迷いつつの選択、というか表明を支持したい。 アカデミック的には作品をあくまでもテクストとして一本ずつを分析し評価すべきであり、作者の背景や時代に引っ張られてはいけないといつも注意される...
メンバーズチョイス 狙い撃ちで殺された女性ジャーナリストの叫び『手に魂を込め、歩いてみれば』 推薦者・まつかわゆま カンヌ映画祭でどうしてもチケットが入手できず見逃してしまったドキュメンタリーである。キャンセル待ちの列にも2時間ほど並んだが入れなかった。今年一番話題の作品だった、といってもよかろう。 2025年4月15日、カンヌ映画祭の並行週間の一つACID部門(映画作家たちが創設した「インディペンデント映...
メンバーズチョイス コロナ禍を背景にしたアメリカ西部の不条理劇「エディントンへようこそ」 推薦者・田中千世子 アリ・アスター監督のホラーとヴァイオレンスが西部劇の聖地ニューメキシコ州の町、エディントン(映画のなかだけに存在する)でゆるゆるした展開ながら最後に炸裂。なんとも不思議な味わいである。アスターは子供時代を送ったニューメキシコで映画を撮りたい、そうだ、西部劇だ!という願望が早くからあったとか。土埃が...