メンバーズチョイス 柄本明&西本竜樹の全国巡演朗読劇の記録 『今は昔、栄養映画館の旅』 推薦者・立花珠樹 若い頃、全国の競馬場とジャズ喫茶と名画座を制覇したいと夢見ていた。結局、何一つ果たせず齢を重ねてしまったが、今でも、心が騒ぐ時がある。 なぜ、そうした場所に引きつけられるのだろう? 映画館については、竹田正明監督『今は昔、栄養映画館の旅』に、一つの答えがある。劇団東京乾電池の柄本明と西本竜樹が、202...
メンバーズチョイス パク・チャヌク印の乾いたブラックコメディ『しあわせな選択』 推薦者・佐藤結 一作ごとに円熟味を増すパク・チャヌク監督がドナルド・E・ウェストレイクの小説『斧』を映画化。長年勤めた製紙工場をリストラになった男が再就職のライバルと目した相手を次々と殺していくという残酷な物語を乾いたタッチのブラックコメディとして完成させた。 主人公夫婦役に、韓国を代表するスター俳優イ・ビョンホン、ソ...
メンバーズチョイス 血まみれ果し合いの真相に迫る 『木挽町のあだ討ち』 推薦者・森田健司 昨年公開された映画のヒット作は興行収入200億円を記録した「国宝」。現代の歌舞伎の世界を舞台にしている。 一方、この「木挽町のあだ討ち」は江戸時代後期が舞台。歌舞伎小屋の人間模様から、仇討ちのミステリーを解く手法だ。筆者は時代劇が好きなので、こちらのほうが味わい深い。というか、しっくりくる。 文化7(...
メンバーズチョイス 『センチメンタル・バリュー』父帰る。姉、怒る。妹、惑う。 推薦人:まつかわゆま カンヌ映画祭でグランプリ受賞。パルムの声も高かった 25年のカンヌ映画祭でグランプリを獲得したデンマーク人ヨアキム・トリアー監督作品(ノルウェイの作品だが)。プレスの評判も大変よく、ジャファール・パナヒ監督がカンヌ入りしていなければパルム・ドールを受賞してもおかしくなかったと思う。とてもよく書き込...
トピックス 2025年度 日本映画ペンクラブ賞 発表 2025年度の日本映画ペンクラブ賞、ならびに会員投票によるベスト映画が以下のように決定いたしました。 日本映画ペンクラブ賞 佐伯知紀氏 著書『川喜多長政 映画を産業に育てた日本人』(日経BP 日本経済新聞出版)に対して 功労賞 朴壽南氏 映画『よみがえる声』の監督およびこれまでの業績に対して 奨励賞 キネマ旬報社 前...
トピックス 第83回 ゴールデングローブ賞 決定 投稿者・まつかわゆま ゴールデングローブ賞とは 米アカデミー賞の前哨戦と言われてきたゴールデングローブ賞。前身はハリウッド外国人記者協会が選ぶ、米国映画を対象とする賞だったが、BLM(ブラック・ライブズ・マター)運動のあおりを受け、2021年同賞審査員であるハリウッド外国人記者協会会員の人種的不均衡(アフリカ系のメンバ...
メンバーズチョイス 鬼才たちによる環境ブラックコメディ『ブゴニア』 推薦者・遠藤京子 03年の韓国映画『地球を守れ!』のリメイク。監督は『哀れなるものたち』のヨルゴス・ランティモス。プロデュースはアリ・アスターやアスターに『ミッドサマー』を撮らせたラース・クヌードセンら唯一無二の映画の作り手たちが名を連ねる誘拐サスペンスだ。 主人公はアメリカの地方都市で製薬会社の配送部で働いているテ...
メンバーズチョイス アウシュヴィッツを訪ねた父と娘。「人間を焼くにおいがしない」とは? 『旅の終わりのたからもの』 推薦者・田中千世子 民族や共同体が受けた過去の過酷な出来事が「集団の記憶」となって現在の非人道的な行為の正統性を主張する。その誤謬が今日では問題になっているが、本作はまぐれもなく個人の記憶に立脚した個人の物語として完結している。その意味は大きい。 1991年のポーランド。社会主義体制が崩壊し、自由主義へと移り変わっ...
トピックス 「あらゆる差別を退け、ダイバーシティに富んだ団体を目指す」FIPRESCI 2025総会リポート 報告者・佐藤久理子 2025年9月17、18日の2日にわたり、ハンガリーの「ブダペスト・クラシック・フィルム・マラソン」映画祭の折にFIPRESCI総会が開催され、日本代表代理として参加してきましたので、以下にご報告いたします。 今回の参加者は昨年より大幅に増え、直前に新加入したキルギス共和国の会員も含み28カ国30...
メンバーズチョイス 認知症を患った大女優の苦悩と美しき友情『喝采』 推薦者・渡辺祥子 ブロードウェイの大女優、リリアン・ホールがチェーホフの名作『桜の園』の舞台の初日を目前にして台詞が出てこない恐怖に直面する。台詞を忘れ、新たな台詞がおぼえられない。医師の診察を受けてその理由が判明した。認知症……。 そんな始まり。ある程度の年代になれば誰もが心の片隅に抱えるに違いない不安がここにある。...