メンバーズチョイス 次の世代へ戦争の実態を伝える『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』 推薦者・立花珠樹 ペリリュー島は、南太平洋の島国、パラオ共和国にあるサンゴ礁の島だ。東京の豊島区とほぼ同じ広さの小さな島では、第2次世界大戦中の1944年9月から2カ月半にわたり、日本軍約1万人、米軍1600人以上が死亡する激しい戦いが行われた。 組織的な戦闘が終結した後も、日本兵は洞窟などにたてこもり続け、最終的に...
メンバーズチョイス 貧乏の底に蠢く幸せな模擬家族 『ナイトフラワー』 推薦者・田中千世子 ハードボイルドなシスターフッド全開の快作である。 多額の借金をこしらえて夫が逃げたあと、大阪から東京に越してきた母子3人家族が貧乏のどん底にいる。 小学生の賢い娘は給食をせっせとお代わりして飢えをしのぐ。 昼も夜も働きづめの夏希(北川景子)は、夜の街で偶然手にした覚せい剤を売り始めるが、組織に捕ま...
メンバーズチョイス 94歳監督の人間賛歌。倍賞の歌声が素晴らしい 『TOKYOタクシー』 推薦者・立花珠樹 シネコン普及以前には、行き当たりばったりで映画館に入ることが、しばしばあった。 何の予備知識も持たずに見て、心をつかまれ、宝物になった作品も多い。 山田洋次監督『TOKYOタクシー』を見て、そんな青春時代の記憶がよみがえったのは、この作品に、映画の楽しさがあふれているせいだろう。 フランス映画「パリ...
メンバーズチョイス 映画を、アジアを、妻を、愛しぬいた『佐藤忠男、映画の旅』 推薦者・立花珠樹 映画評論家の佐藤忠男、久子夫妻に筆者が初めて会ったのは、1994年。 佐藤がディレクターを務める第4回「アジアフォーカス・福岡映画祭」の会場だった。 2007年には、佐藤が栄誉賞を受賞したインドの映画祭に夫妻に同行。 アジア各国の優れた映画を発掘してきた仕事が、いかに海外で高く評価されているかを実感...
メンバーズチョイス 自分たちを捨てた父と再会する青年の葛藤『見はらし世代』 推薦者・まつかわゆま 『見はらし世代』 日本人史上最年少26歳でカンヌ監督週間に選出された団塚唯我(だんづか・ゆいが)監督。 父はランドスケープデザイナーとして渋谷の宮下公園再開発を手がけた人、ということはこの作品は自伝か?と思ったが監督曰く「個人的なところから出発したけれど、スタッフやキャストからのアイデアがたくさん...
メンバーズチョイス 逃げる男と追う女を描き、カンヌ映画祭監督賞を受賞『グランドツアー』 推薦者・田中千世子 ポルトガルのミゲル・ゴメスが2024年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した傑作。 恋する男女の狂おしさを過去の時代に描いた2012年の『熱波』と対照的な逃げる男と追う女をやはり過去の時代によみがえらせた。 ビルマのラングーン、シンガポール、サイゴンの先に大阪も登場するグランドツアー。 現代の風景は見...
メンバーズチョイス 吉永小百合が演じる女性登山家のエベレストとがん闘病『てっぺんの向こうにあなたがいる』 推薦者・立花珠樹 女性初のエベレスト登頂で知られる登山家、田部井淳子がモデル。 これが124本目の出演映画となる吉永小百合が主演。 青春時代のヒロインはのんが演じる。 登山シーンや登山隊内部の人間ドラマも見どころだが、映画の力点は、主人公の夫婦愛や、がんで余命宣告を受けた後の生き方にある。 80歳の吉永は感嘆するほど美...
メンバーズチョイス 【満ち足りた家族】 最近の韓国社会は、若者が年寄りに席をゆずらないとか。競争社会ゆえのゆがみだろうか。『八月のクリスマス』や『四月の雪』など良質なロマンティシズムが得意のホ・ジノ監督の新作は、人間性の不可思議を見つめた力作だ。 ソル・ギョング演じるリッチな弁護士の兄と、チャン・ドンゴンの誠実な小児科医の弟。2人はそれぞれ家庭を持ち、傍...