メンバーズチョイス 「暴力で、ではなく世界を救う」ことはできるのか 『果てしなきスカーレット』 推薦者・まつかわゆま すでに公開されているが、批評的には賛否両論の否の方が優勢で、興行的にも苦戦している様子。だが、私は細野守監督の迷いつつの選択、というか表明を支持したい。 アカデミック的には作品をあくまでもテクストとして一本ずつを分析し評価すべきであり、作者の背景や時代に引っ張られてはいけないといつも注意される...
メンバーズチョイス 狙い撃ちで殺された女性ジャーナリストの叫び『手に魂を込め、歩いてみれば』 推薦者・まつかわゆま カンヌ映画祭でどうしてもチケットが入手できず見逃してしまったドキュメンタリーである。キャンセル待ちの列にも2時間ほど並んだが入れなかった。今年一番話題の作品だった、といってもよかろう。 2025年4月15日、カンヌ映画祭の並行週間の一つACID部門(映画作家たちが創設した「インディペンデント映...
メンバーズチョイス コロナ禍を背景にしたアメリカ西部の不条理劇「エディントンへようこそ」 推薦者・田中千世子 アリ・アスター監督のホラーとヴァイオレンスが西部劇の聖地ニューメキシコ州の町、エディントン(映画のなかだけに存在する)でゆるゆるした展開ながら最後に炸裂。なんとも不思議な味わいである。アスターは子供時代を送ったニューメキシコで映画を撮りたい、そうだ、西部劇だ!という願望が早くからあったとか。土埃が...
メンバーズチョイス 次の世代へ戦争の実態を伝える『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』 推薦者・立花珠樹 ペリリュー島は、南太平洋の島国、パラオ共和国にあるサンゴ礁の島だ。東京の豊島区とほぼ同じ広さの小さな島では、第2次世界大戦中の1944年9月から2カ月半にわたり、日本軍約1万人、米軍1600人以上が死亡する激しい戦いが行われた。 組織的な戦闘が終結した後も、日本兵は洞窟などにたてこもり続け、最終的に...