トップ ジャズミュージシャンがいかに政治利用され、ブラックカルチャーがいかに対抗したか『叛逆のサウンドトラック』 推薦者:遠藤京子 第二次世界大戦後、アラブ&アフリカ諸国が次々と植民地支配から独立するなか、アメリカとベルギーはコンゴで正当に国民から選ばれた優れた政治家を殺害し、傀儡政治家を大統領にした。本作はアーカイブ映像から、闇の歴史を明るみに出す力作だ。 冒頭はジャズボーカリストのアビー・リンカーンと詩人のマヤ・アンジェロ...
トップ 戦争はいかに子どもを傷つけるか 『白パンと独裁者』 推薦者:立花珠樹 戦争は前線の兵士のみならず、銃後の人々も犠牲にする。最も悲惨な目に遭うのは、高齢者や子どもを含む社会的弱者だ。 1945年、第2次世界大戦敗戦前後のドイツの小さな島を舞台にした『白パンと独裁者』は、12歳の少年を主人公に、戦争の狂気と、大きな歴史の渦に巻き込まれた人々のドラマを描いた作品だ。 監...
トップ 日本と台湾の関係をユニークに見せるドキュメンタリー『軍服を着た神様』 推薦者:佐藤結 彷徨う魂を祀った台湾の人々 「台湾に神様になった日本人がいる」という文化人類学者・藤野陽平さんの言葉に誘われ、カメラを持って現地に向かった遠藤協監督。そこで目にしたのは、縁あってその地を漂っていた日本人の魂を神として祀る台湾の人々の姿だった。 レイテ沖海戦中に亡くなった軍人・樋口勝を弔った卒塔婆が流...
トップ 『ハワの手習い』『撃たれた自由の声を撮れ』アフガン女性の声を聴け 推薦者:まつかわゆま 昨年10月に行われた山形国際ドキュメンタリー映画祭で観た二本のアフガニスタン(についての)映画が続けて公開される。市民賞を受賞した『ハワの手習い』(8月1日公開)と、無冠ながら強い印象を残した『撃たれた自由の声を撮れ』(8月15日公開)である。どちらも、2021年8月にアフガニスタン全土を再掌握し...
トップ 「黒牢城」 「進めば極楽、退かば地獄」が意味する集団ヒステリー 推薦者・森田健司 「爺(じじい)のしょんべん」という言葉がある。オシッコの切れが悪くダラダラと時間をかけて流れることだ。 実は本稿も爺のしょんべんだった。畏友のTさんから「時代小説家の視点で『黒牢城』の批評を書け」と要請され、新宿ピカデリーで作品を鑑賞したのが6月25日。米澤穂信の原作本(税別960円)を買って帰り、...
トップ 再開発される郊外都市の片隅に見える人間模様『よき谷の物語』 推薦者:遠藤京子 本作は名匠ホセ・ルイス・ゲリン監督が、バルセロナ郊外のバルボナ地区とそこに暮らす人々を描いたドキュメンタリーだ。 アバンタイトルでジャズをBGMにアレ、ブレ、ボケたモノクロームでとらえられた住民たちが踊ったり水浴びを楽しんだりする姿が映される。50年代ごろの記録映像かと思ってしまうが、子ど...
トップ 怪談に着想を得た記憶の物語『ユースフル・ゴースト』 推薦者・佐藤結 最愛の妻の魂が掃除機に宿る タイでは知らない人のないほど有名な“怪談”を出発点にしたスタイリッシュでコミカルなホラーから、歴史を「忘れない」ことの意味を考えさせるドラマへと変奏していくユニークなタイ映画。 最愛の妻ナットが出産時に命を落としてしまった痛手から立ち直ることのできないマーチ。しかし、ナッ...
トップ 『急に具合が悪くなる』と齋藤敦子さんのこと 推薦者・関口裕子 映画とは対話なのだ。 濱口竜介監督の『急に具合が悪くなる』を見ている中、私はずっと抱えていたテーマと、映画を介して対話している自分に気づいた。 『急に具合が悪くなる』の主人公は、2人の女性。パリ郊外の介護施設の施設長として理想の介護のあり方を模索するマリー=ルー(ヴィルジニー・エフィラ)と、精神病院の...